夏休み企画「親子で作るバターナイフ教室」レポート
去る2017年8月6日、夏休み期間中にモノ・モノにて、親子木工教室を開催しました。講師は八王子現代家具工芸学校の伊藤洋平さん。都内で植林されたヒノキと、家具製作の際に出た端材(ウォールナット)を使い、バターナイフを手作りしました。
今回のイベントは、ワークショップの運営を専門に行っている「にっぽんてならい堂」との共同企画として開催しました。午前、午後の2回開催され、どちらも満員で大賑わいでした。4歳の男の子から女性おひとりの参加まで、幅広い年齢層の方々にお集まりいただき、中にはご家族そろって来てくださった方もいらっしゃいました。木工が趣味の私も伊藤先生のサポート役として参加させてもらいました。
材料となる木材は、先生があらかじめ木取りした部材の中から自分の好きな木目のものを選びます。木材にはそれぞれ真っすぐだったり、ぐねぐねと曲がっていたり、いろいろな木目があるのを見て、子供たちは真剣に選んでいました。
バターナイフ作りはまず、厚紙でできた型に沿ってバターナイフの形に切り出すことから始まります。糸ノコと呼ばれる細いノコギリで切るのですが、曲線を切るのはなかなか難しく、苦戦している人も多かったようです。特にウォールナットは硬く、思い通りに切るのは難しいため、自分の切ったものを見て、ちゃんとバターナイフになるのかと心配そうな顔も見られました。
バターナイフの形に大まかに切り出した木材を、さまざまな道具を使って整えていきます。まず2種類の金やすりを使ってバターナイフの周囲のおうとつを平らにし、また別の粗いやすりを使い、バターをすくう部分のなだらかな曲線を出していきます。先生によると、ここをきれいな曲線にすることがバターがすくいやすくなるポイントなのだそうです。皆さん集中して作業を進められていましたが、たくさんの慣れない道具に四苦八苦している場面もありました。とはいえ、皆さん短い時間の中でも徐々にコツをつかんで、いつの間にかきれいなバターナイフのかたちに近づいていました。
最後の仕上げはサンドペーパーで傷を取ったり、滑らかにしていきます。どんどん丸みをおびて、目に見えてきれいになっていくのに感激して、作業の勢いを取り戻した人が多かったように思います。すべすべになった面をなでながら目を輝かせる子どもたちを見て、お手伝いしている私もうれしくなりました。
でき上がったバターナイフの塗装にはくるみを使いました。食用のくるみを布で包み、少し砕いて塗るだけで木の保護とツヤ出しに効果があり、昔から使われる手法です。くるみを塗ると、きれいな色になった!と子供たちは大喜び。もっと良い色にしようと何度も何度も夢中になって塗り重ねる子もいました。
同じ型で作り、同じように教わっていても完成作品の姿形はいろいろで、作り手の個性が出て面白かったです。慎重に削っていく子や我先にと削り進める子、道具の使い方がどんどん上手くなる子など、作り方にもそれぞれに個性がありました。
木工の道具を扱ったことがない人がほとんどでしたが、終わってみれば自分だけのバターナイフがちゃんと完成していて、満足そうな顔がたくさん見られました。自分の作品ができたというよろこびと、モノづくりの大変さを味わっていただけたと思います。
モノ・モノ創設者の秋岡芳夫は、工作の楽しさとは工夫して作ることであり、人間にとって大切な営みであるということを、折に触れ提唱してきました。これを機に、工作の楽しさを伝えるワークショップの取り組みを今後とも続けていきたいと思っています。
photo&text:宝樹恵(グループモノ・モノ)
- 2017.08.18 Friday
- イベントレポート
- 16:25
- -
- -
- by 木固めエース普及会事務局