2019.04.26 Friday | よくある質問

「木固めエースECO・仕上げクリヤー」性能レポート

こんにちは。2018年9月に発売された「木固めエースECO」のモニターレポートを担当した有城利博(ありしろ道具店・木工芸品製造販売)です。

2019年5月に発売される「木固めエースECO・仕上げクリヤー」(以下、仕上げクリヤーECO)のモニターについても、私が担当させていただくことになりました。私個人の感想ですが、前回同様、従来型との違いをレポートします。

今回発売された「仕上げクリヤーECO」は、トルエン・キシレンを含まないTXフリータイプの塗料で、より環境負荷が軽減されたた塗料となっています。ふだん私は「エステロンカスタムDX」という2液型のウレタン塗料を使っていますので、今回のECO版(F☆☆☆☆対応・1液型ウレタン塗料)の性能はとても気になるところです。

今回サンプルとして用意した器(木地)は、地元のクスの木で作りました。テストは刷毛塗り、吹付塗装、それぞれ行いました。

まずは「仕上げクリヤーECO」塗装の前に「木固めエースECO」を木地に浸透させます。これにより、仕上げクリヤーECOによる表面の保護だけでなく、木地の内側からも木質を強化することができます。

木固めエースECO浸透作業工程
「木固めエースECO」を使った木固め加工の様子。

「木固めエースECO」乾燥後、塗布面を320番のサンドペーパーで空研ぎしました。これは木固め加工後の毛羽立ちやホコリ、導管から吹き出して固まった溶剤を除去し、塗布面を平滑にするためです。空研ぎ後は、エアーダスターガンを使って研ぎ粉をしっかりと吹き飛ばします。

刷毛塗りを行ってみて…

塗装を行ったのは3月です。気温10度と低めだったこともあり、塗料の粘性が上がらず、従来型の仕上げクリヤー、ECO版ともにスムーズに塗ることができました。塗料の性能とは関係ありませんが、刷毛塗りの宿命で2度塗りするとムラになりがちです。「あっ、失敗した」と思って塗り重ねると、塗膜がどんどん乱れていきます。そうならないようにするため、器物の形に合った刷毛を選び、重ね塗りをしないで済むような刷毛の動かし方を、事前にしっかりイメージしておかなければなりません。基本は漆塗と同様、薄い塗膜を塗って乾かし、研いで、さらに塗り重ねることをくり返すのみです。

刷毛塗り作業工程
「仕上げクリヤーECO」を使い、刷毛塗りで仕上げる。

塗料の臭いについては、木固めエースほど強くは感じませんでしたが。やはり特有の匂いがあります。含まれる成分によるものだと思いますが、従来品とECO版の臭いの質は、違う感じがしました。ECOの方は、いわゆるシンナー臭が従来型より若干少なく、どことなく香ばしいような臭いです。いずれにせよ塗装時は換気や防毒マスクを装着するようにしましょう。

吹付塗装を行ってみて…

「仕上げクリヤーECO」は、スプレーガンで塗装するには、少し粘性が高く感じたので、専用のシンナーで10%希釈しました。粘性が高いとうまく塗料が霧状に広がらず、きれいな塗膜になってくれません。こちらも「基本は薄く重ねる」ですが、やはり刷毛塗りと比べてムラができず、きれいな塗膜に仕上がりました。

スプレーガンによる塗装工程
スプレーガンを使った吹付塗装の様子。

刷毛塗り、吹付塗装とも一晩乾燥させてから、塗膜を600番のサンドペーパーで水研ぎしました。研ぎに関しては、塗膜が十分に均一でない状態では空研ぎ、木地に水分が染み込まないくらい肉厚な塗膜ができたら、より細かくきれいな研磨ができる水研ぎ、という風に使い分けをしています。

なお、塗装が終わった木地に鼻を近づけて臭いを嗅いでみましたが、塗料の匂いはほとんどしませんでした。

水研ぎ後にさらに塗料を上塗りしたところ…

刷毛塗りの場合、従来型の仕上げクリヤーは、スムーズに塗ることができたのですが、ECO版はやや塗りにくさを感じました。前回の塗装が溶けてベタつく感じで、きれいな塗膜にならず失敗してしまいました。原因としては1回目の塗装(中塗り)の後、塗膜が完全に乾いていなかったことが考えられます。なお、スプレーガンによるECO版の塗装は、専用シンナーで10%希釈をしたところ、きれいに塗ることができました。

塗膜が不均一になった刷毛塗りの器についても、試しにもう一度塗り直してみました。2回目の塗装後、今度は丸1日かけて乾燥させた後、塗膜を600番の水研ぎで一度フラットにします。その後、同じように仕上げクリヤーECOを刷毛塗り。今度はベタつかず、スムーズに塗ることができました。これで刷毛塗り、吹付塗装とも塗装が終了しました。

仕上がりの違いはいかに…

仕上がり(ツヤ・質感)は、従来型の仕上げクリヤーも、ECO版もほとんど違いを感じませんでした。塗膜の美しさは、やはり刷毛塗りよりもスプレーガン吹きの方がきれいです。刷毛塗りは私の技術では、どうしても刷毛跡が残ってしまいました(塗師の方ならもっとうまくいくと思います)。

刷毛塗りによる塗面、刷毛跡あり
刷毛塗りによる塗膜は刷毛跡が少し見える。
スプレーガン吹きによる塗面
吹付塗装による塗膜は均一になっている。

ウレタン塗装の器は乾燥が不十分だと、使いはじめにお湯を注いだときにシンナー臭がすることがあります。そこで一晩以上乾燥させてから、塗装した表面にお湯をかけてみました。従来型、ECO版とも塗膜に変化はなく、しっかりと水分をはじいていました。

お湯をかけた時の水分がはじく様子
仕上がった器にお湯をかけて撥水性をテスト。

比較テストを終えて…

今回、刷毛で上塗りする工程で塗装不良が生じましたが、それによって新しく開発された仕上げクリヤーECOの性質も少し分かるようになりました。

不良の原因について、寿化工(塗料の製造元)の担当者に質問したところ、仕上げクリヤーECOは、「従来型よりも温度や湿度など環境の影響を受けやすい性質がある」とのことでした。今回は塗装時の室温が低く、従来品よりもより乾燥時間がかかってしまったようです。

逆に夏場は「気温が高い場合はECO版の方が、溶剤が飛びやすく、比較的早く粘性が上がる可能性がある」そうです。このため「専用のシンナーで10%ほど希釈して塗りやすい粘性に調整するとよい」とアドバイスいただきました。

このように作業環境によって従来型とECO版では施工性に若干の違いが生じる可能性があります。そのためECO版に今後移行されるユーザーの方は、そのあたりを注意する必要があるでしょう。

また、刷毛塗りの際の刷毛跡についてもアドバイスいただきました。もし二度塗りした場合に刷毛跡が残ってしまったら、刷毛に塗料をつけず、専用シンナーのみを浸したもので表面をなでる様に塗る「空塗り」を試してくださいとのことでした。刷毛跡の修正が出来るそうです。このテクニックも知識として知っておくといざというときに役に立ちますね。

以上、今回でモニターレポートを終わります。最後までご覧いただきありがとうございました。


2018.11.13 Tuesday | よくある質問

「木固めエースECO」性能レポート

以前、木固めエース普及会事務局のブログで連載記事を担当していた有城利博(ありしろ道具店・木工品製造販売)と申します。2018年9月に発売された「木固めエースECO」が気になっていたところ、従来型とあわせてモニターをさせてもらえることになりました。いちユーザーのレポートにすぎませんが、皆さんの参考になればと幸いです。

ウレタン塗料で仕上げた食器の中でも、汁椀やマグカップ、弁当箱などの深さのある器は、乾燥期間が短いとシンナー臭が残留することがあります。そのため塗料の選択には気を配りたいものです。

木固めエースECOは、従来型の「木固めエース」と価格や性能は同じで、有機溶剤であるトルエンとキシレンを含まない環境配慮型の塗料というのがうたい文句です。今回のブログでは従来型とECO版で浸透性、作業性は変わっていないか。シンナー臭はどの程度するのか。そのあたりを検証しました。

木固めエース、木固めエースECO、プレポリマー

比較テストでは、従来型の木固めエース、ECO版に加え、私がふだんの仕事で使っている産業用の木固め剤「プレポリマー PS No.1000」とも比べてみました。

テストピースはヒノキで製作した「湯こぼし」を選びました。湯こぼしとはお茶の道具(容器)で、ある程度の深さがあり、塗装が不十分なままお湯を入れると溶剤臭がしやすい形であることが採用した理由です。

まず塗装時の溶剤臭について。従来型とECO版で臭いの強さに差は感じませんでした。ふだん使っているプレポリマーと比較すると、木固めエースは従来型、ECO版ともシンナー臭をやや強く感じました。したがってECO版といえども塗装中の換気は絶対に必要です。また、浸透性についてはヒノキに塗った限りにおいては、従来版とECO版で違いは感じませんでした。

次に木固めエースを木地に十分に浸透させた後、室温15~20度の室内で自然乾燥させました。10日経って器の内側に鼻を近づけて臭いを嗅いでみると、ECO版はいわゆるシンナー臭とは異なる臭いがわずかにしました。(プレポリマーで塗った器は、ほぼ無臭でした)。

湯おぼしにラップをしたテスト

そこで、追加の実験として湯こぼしに何も入れず、食品包装のラップフィルムをしてひと晩放置し、開けた瞬間の臭いをかいでみました。

従来型の木固めエースは、シンナー臭はほとんどしませんでした。一方、ECO版はシンナー臭ではなく、酢酸系のすっぱいような臭いがわずかにしました。(プレポリマーで塗装した器は、シンナー臭をわずかに感じました)。従来型、ECO版ともラップフィルムを外して、しばらくすると臭いは感じなくなりました。

さらに追加の実験として、湯こぼしに70度のお湯を入れ、上がってくる蒸気の臭いを嗅いでみました。ところが、お湯を入れると、ヒノキそのものの匂いが強く立ちこめて、溶剤の臭いを判断できなくなってしまいました。ヒノキという匂いの強い木を選択してしまったことと、木固め加工後、上塗りをしていなかったので、余計に木の香りのほうが強まったようです。今回のケースのように木の樹脂成分の香りと溶剤臭をユーザーが混同してしまうケースはたまにあると聞いています。お客様から臭いの指摘があった場合は、この点も考慮するようにしたいものです。

湯こぼしにお湯を入れたテスト

ECO版の臭いの正体が気になったので、後日木固めエース普及会事務局に確認したところ、酢酸エステル系の臭いということが判明しました。木固めエースECOは、いわゆるシンナー臭が抑えられた反面、酢酸エステル系の臭いが前面に出ているとのことでした。なお浸透性の違いは、今回ほとんど感じませんでしたが、木固めエースの従来品とECOでは、樹種(とくに広葉樹の場合)によって浸透力が違うケースがあるということでした。時間があれば広葉樹の器でも比較を行ってみたい思います。

結論として、木固めエースECO版特有の臭いは製作する上で考慮しなければなりませんが、シンナー臭の要因であるトルエンやキシレンが除去されている点。食品衛生法認可に加えて、フォースター認証を取得しているという点が木固めエースECO版の評価ポイントといえるでしょう。

漆器でも「1ヶ月枯らし」という言葉があるくらいです。ウレタン塗装といえども、塗装したら最低2週間くらいは風通しのよい場所で乾燥させ、十分に溶剤を飛ばしてからお客様の元へ届けるようにしたいものです。


2018.09.21 Friday | よくある質問

よくある質問「ステインによる着色の可否について」

Q.木固めエースは水性ステインで着色した木製品には塗装できますか。

A.塗装可能です。ただし、ステイン系の塗料を先に塗り、後から木固め剤を塗布しますと、本来奥まで浸透するはずの木固め剤が、ステイン系の塗料によって妨げられる恐れがあります。したがいまして、木固め剤を先に塗布し、十分に乾燥させてから耐水ペーパーで研磨し、表面を整えたした後に、ステイン系の塗料で上塗りする施工方法をおすすめしますす。

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